〜 バイク屋のオッサンのスッタモンダ(汗) 〜
仕事として請けるには現状のウチの技術で出来るのか疑わしいコトを自分のオートバイで試してみる事が多々あります。その結果、ウチで請けるのか、外注にお願いするのか、時にはオススメするかしないのかの判断基準を確認するのです。自分のオートバイですから、実走テストも充分に出来ますし、その効果や安全性・耐久性も確認しやすいのです。
さらにはこういったスタディーワークの中で、現時点での自分の技術レベルの限界を見定める事も出来ますし、一歩前へ進める足がかりにもなるのです。
だから、「あ〜、また自分のやってる〜!」とは言わないで下さいね(笑)。仕事の内です、シゴトの…?(笑)。
ただ、やってはみたけれどコレはウチにもお客様にもメリット無いなぁ、という結論に達する事もままありまして、そんな陽の目を見なかった店主のスッタモンダとして紹介させて頂きます。
《ワンオフ》カテゴリーにも《流用・加工》カテゴリーにも載せられなかった、プロではなく、一バイク乗りのオッサンの奮闘記として観て戴けると幸いです。さらには、ボルトオンパーツじゃないモノで全体を仕上げる場合の連鎖的手間の増えっぷりもご覧いただけると、仕事のご依頼の参考にもなるかと思います。
(今まで当HPをご覧になって頂いた皆様には《オートバイ四方山話》カテゴリーからの抜粋です。)
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四方山ステム(?)
ステアリングステムのワンオフ及びフロントフォーク回りの流用加工のスタディーワークです。
ただただステアリングステムを作ってみたくてアルミの塊を手にしたのですが
作業を進めるうちにアレやコレやと後に引けない状況に…
フォーク延長はまだしも、各シャフト類の64チタンでのワンオフやブレーキシステムの一新にまで…(泣)
構想20年、製作足掛け3年のビンボーバイク屋のトライアルです。
INDEX
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20・ファーストインプレッション new!
そう、カタマリでしかありません…。
これ。2017アルミの25ミリと60ミリ厚の板。
もちろんこれで何かを作ろうってわけですが 、今のところ『遊び』にしておきます。実際、仕事としては今依頼があっても請けられません。工作機械の能力的に全てウチでは出来ませんし、どの程度のクオリティーで仕上げられるかも解りません。と、言うことで自分のオートバイ用に(ドルフィンね)遊び半分ながら本気で作ってみます。
一般市販品はスゴク高いパーツです。子育て中のオートバイ屋にはかなりキツイ値段です。ましては、自分が思う理想寸法とデザインのモノとなると皆無ですし、そうなるとワンオフオーダーになるので、さらに高くなります。もし、納得できるモノになって、リーズナブルに提供できそうなら、『ワンオフ』に紹介して仕事を請けたいと思います。
しかし、実際に手にとると、大変そう…と思ってしまいますねぇ。そりゃ高くもなるわな。買う人は製品になったものを見て高い、安いと思うのですが、作る人はこうして元の材料や工程をイメージしてしまうのです。もちろん、製品をみて判断するのが正しいのですが、同じ値段を出すのなら、その工程を見られたら満足度が高くなるんじゃないかな、と思います。できるだけ工程を紹介しますね。
自分のオートバイ用だし半分趣味なので、時間がかかると思います。(仕事にするのなら、実走テストも充分した後になるでしょう。)でも自分のオートバイ用なのでそこらにあるようなモノにはしないつもりです。いろいろたくらんでますよ〜!モノを作るオートバイ屋の数少ない特権ですかね〜。
あ、モノはこれ。もう解りますよね。
やっと上がってきましたよ、これ
仕上がりは思ったより悪くないし、嬉しくてしょうがないのだけど、いくら急いでないとは言え、時間かかりすぎだし、金額的にも結構微妙でした。こういったパーツはあまりやったことがない加工屋さんに頼んだから多くは望んでいませんでしたが、加工やワンオフのページに載せてウチで仕事として請けるにはまだ検討が必要です。シーズンオフに頼んで春までに、であればなんとかいけるのかなあ…
いずれにせよ、まだ素材の段階です。これからザグリのデザインと作業して、ステアリングストッパーとかメインキーホルダーの製作、ステムシャフトの製作、仕上げとアルマイト処理など先は長いのです。ザグリの入れ方も、寸法変化の不安や強度の検討も必要だし、仕上げも個人的にハンドル周りは反射のないつや消し黒が基本と思っているのでサンドブラスト後のアルマイトかな?なんて思ってるし、さらに今使っているハンドルを使い、なをかつフォーク延長するアダプターも作んなきゃいかんし、アクスルシャフトが極端に太くなるので、ホイールのベアリング穴も広げて、スピードメーターギアもそのシャフト用を使えるようにしなきゃいけないし、あ〜先が長い!たのし〜!です。
あ、フォークはこれ、使います。
GSF1250用 43Фフォークです。
もちろん組んでからは、セッティングでまたひと山あるでしょう。こうして考えると、やっぱり首ごと他車流用はコスト的にかなり有利ですよね。でも理想寸法の他車がないんです。カッコイイと思えるのもないんです。18インチがいいんです。やるしかないしょ。バイク屋だし。
でも…冬ですね…ヤルの…
忙しいです。ありがとうございます。
ドルフィンの車検、また先延ばしです…。
数年ぶりのドルフィンのモディファイ!と気合と頭の中の段取りだけは充分だったワリには、遅々として進まない首回りの作りモノ。かといって走るわけでもなく、車検も切れっぱなし。自分もいよいよヤキがまわったか?…ってすこーしづつは進んでいますよ。仕事と子育てと冷ややかな視線の間隙をぬって(汗)。もちろん妥協はしたくないけど、時間もお金もたっぷりとはかけられないのは弱小バイク屋の自分のオートバイの宿命か?う〜ん…
先ずはトップブリッジ上のインジケーターとメインキーの位置合わせ。インジケーターがここにあるのは良い事ではないのだけれど、インターフェイスというかインパネ周りはGPzらしさが強く出ているポイントだし、気に入ってるしね。自分のGPzはA2だからインナーパネル付いてるし、そこにインジケーターを設置してバーハンドルをマウントして…の方が簡単なんだけど、あえてコダワリます。
フォークピッチは広げたけどオフセットは変えていないので手前の角度はちゃんと被さるのだけれど、問題はインジケーターの間のキーシリンダー穴にセンターと仰角をちゃんと合わせて入るようにメインキーシリンダーをトップブリッジに取り付けるコト。今回はマウントブラケットを製作します。
こうやって、出来てしまうとなんでもないんですがね。17Sアルミから削り出して形を整えて…。カバーに隠れるので見栄えはともかく、配線やカバー裏との干渉を避けて、かつカバーの穴に合うように。このあたりは意外とキッチリ測定して図面起こして…ではなく、カンと経験だったりします。
後はステアリングロックの受け側を、実車にマウントして位置を決め、フレーム側なり、シリンダー側を加工します。ちょっとイイかな…と思うのがこのステンのワッシャー
座面を多く取れ、トップブリッジ穴とトップボルト座面にはめあうような段差を入れてあります。問題にはならないのですが、一般的なトリプルツリーの構造上、どうもアンダーに対してトップ側ってユルイ気がするし、ステムシャフトも当然作るので、こんな所はせっかくのワンオフって事でイロイロやってみます。
あとは裏側に軽量化と強度調整のザグリ入れて出来上がり…の前にやる事が。
前述のインターフェイス、ハンドルバーも現在使用している構成(Z1100GPのブラケットを流用したセパレート。トップブリッジ上にマウント)にしたいので、ブラケットの位置決めのストッパーをとめるネジ穴を掘らなきゃいけないのだけれど(この穴を避けてザグリのデザインを決める)、その位置決めにはやっぱり仮付けしてポジションを確認したいし、その為にはハンドルマウント兼用のフォーク延長キットを作らないと。
で、これも頭の中では出来ていたカタチを実際に。初めは強度優先でステンと思っていたけれど、これもかなりの『塊』になりそうだったので、重量優先でアルミで。それでも7075使ったけど。
詳しくは後ほど《ワンオフ》に紹介しようと思いますが、とりあえずこれで寸法出しは出来ます。もちろん進展あればまたココに書かせていただくけれど、…気が付いたらダラダラと私ごとを書いてしまいましたね。やはり自分のオートバイ、バイク屋とは言えども嬉し楽し!は同じなのです。ご容赦ください。
ところで気が付きました?トップブリッジはブラックアルマイトの予定、仕上がってもたぶん見た目は今までとほとんど変わらないハズ。むしろその為に苦労しているのです。それってどーなのよ?
久々にドカッっと雪が降りましたねぇ。それでもヤマのバイク屋としてはいつも通りレベル。かまくら用の雪山もまだまだです。で、その雪のせいもあってか、部品の入荷も遅れ気味で最近手が空く事が多く、仕方ないので(?)また店主自身のオートバイのコトです(イヤ、ちゃんと仕事もしてますよ!)。
未だカタマリのステム、ハンドルブラケットなどの位置決めのために、仮組みします。ステムシャフトはノーマルを抜き、少しだけ削ってベアリングとアンダーブラケットが圧入しなくても入るようにして、ボルトで仮止め出来るようにします。圧入箇所はあまり入れたり抜いたりしたくありません。最終的にアルマイトをかけた後に、製作するステムシャフトを圧入します。
おおっ!まるで仕上がったみたいだ(喜)。
スンナリと何の問題もなく組めました。当たり前なんですけど、嬉しいですね。これでコーヒー一杯とタバコ一本は楽にいけます(笑)。もともとデカイ車体なので太さはむしろ自然で違和感ありません。ナシ地のつや消し黒も、ツヤ有りに塗り直そうと思ってたけど意外といけるかも?まあこのあたりは仕上がってみないと分かんないけど…、しかしキャスター寝てるなあ…などなど、久々の愛機との会話を楽しみます(ヘンタイ)。
で、肝心のハンドルブラケットのストッパー。左が現仕様です。う〜ん、この鉄を曲げただけみたいなストッパーが気に入らない…。
急いで作業します。フライスで15ミリ厚のアルミ板をT字状に削り、6ミリのキャップボルト用のザグリ穴を開けます。精度も上げてカットして、ちょっと磨いて出来上がり…
と、思ったけど、なんか味気ない!再度角度をつけてフライスで削って(二度手間)、これでヨシ!ブラケットのアームに挟んで、ポジションと各部の干渉をチェックしつつ、ネジ穴の位置を決めます。
ヨシヨシ、いいぞ〜、長年馴染みきったポジションなのがすぐ分かります。スタビライザーの長さも可変なので、ちょうど広がったピッチ分の片側5ミリ広くなっています。でもハンドルバーが別体式なのでいつでも削れます。
再度トップブリッジをはずして、位置を確認し、ネジ穴を掘ります。これでトップブリッジは裏のザグリ作業が出来ます。それはまた後に。もう一度組んでカバーも取り付けてみます…
ストッパーはほとんど見えません…(笑)
ココしばらくの春のような陽気のおかげで、もうオートバイでの来客がありました(もちろん夏タイヤ!)!…ま、雪祭り後には、また元通り以上に降るのだろうけど、「オートバイ」のコトを思い出すきっかけにはなったようで、いくつかのオーダーも入ってきました。
と、言う事で、楽しかった(誰が?)「塊よもやま」もしばらく中断でしょう。…イヤ、良い事です。キリの良いところで、脱・塊のザグリ込みまではやっておきます。さてさて…
ウチのフライス盤は0番の小さいモノで、中古で手に入れた店主と同じ昭和37年製!。精度も剛性も機能も多くは期待できません。今のところこの「塊」シリーズが《四方山》扱いなのは、このレベルの作業になるとすでに商売としてのクオリティーが期待出来ないからです。でもそこは自分のオートバイ、執念の試行錯誤でジワジワと進めていきます。
結果、イロイロやってみましたが、多少の進歩こそありましたが、やはり機械の剛性不足はいかんともしがたく、その仕上がりと手間のかかりようでは、市販品やNCフルオーダーに分があります。残念!もっと儲かって良い機械が入手できれば(その為にも仕事ください!お願いします!)、いつかは《ワンオフ》に格上げしたいと思います。
で、この後はオートバイ屋の(半分)趣味、暖かい目で見てやってください。
ザグリのデザインを決めたら、クランプで固定します。サーキュラテーブルもないので、XYZ軸のみの削り込みです。角度はあまりつけないデザインとし、いちいち咥え直します。本物の職人さんであれば、手回しで完璧な曲線も掘れるのですが(凄いコトです!)、自分は修行を積むには歳をとりすぎていますね(笑)。それでも、咥え直し後の再始動、刃を進める方向、送り込み量と回転速のバランス、イロイロと気を付けなければ機械も、刃も、製作物そのものも台無しにします。ましては、今までにこんなに深く、大きく掘った事はありません。手ごたえ、音、キリコの様子など、全神経を集中して、楽しく作業を進めます。
先ずは、角の立った刃で薄く輪郭を堀り、次に荒削りの刃でその輪郭よりちょっと小さめにゴリゴリ掘り込み、最後に角にRの付いた刃で輪郭どおりに仕上げます。やる度にだんだんイロイロと分かってきましたが、それでも「仕上げ」と言うには残念な面です。ま、自分のですから許してください。どうせ組んだら見えづらい部分だし…(悔しい)。
軽く面取りをして、ケガキ線も消します。後は角を落としたり磨いたりして形を整えたらアルマイトに出します。とは言え、まだコレの約倍も深く掘らなきゃいけないアンダーブラケットもありますし、ステムシャフトも作んなきゃいけないし、まだまだまだ…です。やっぱり春には間に合いそうもありませんね(泣)。もちろん、お客様のオーダーは最優先ですよ!オーダーお待ちしております!
とりあえずカタマリからは脱しましたね。かなり軽くなりました(喜)。
掘ったなぁ…
春の陽差しかと思えば冬に逆戻り、春の気配も一進一退ですねぇ…。そんな感じでつんのめっている感が見えるお客様からのオーダーのスキを狙って「今だ!」ってコトでアンダーブラケットも掘っちゃいました。だもんで、今回は工程なし、いきなり出来上がりの写真ですが、何せ刃物の有効長にせまる掘り込み深さ、ヒヤヒヤもので写真撮っているヨユウが…(汗)。それでもトップ側の経験があったおかげで意外とサクサクとコトが進み、「ヨシヨシ…」とほくそえんだ瞬間!、最後の最後に痛恨のミス!泣きそうになりながらごまかしました…。もちろんただごまかしはしませんけど…(泣)。まあ今回は自分のオートバイ用ってコトで、仕事のトキの教訓といたします。
『最後の上がりまで気を抜くな!』…あまりにもアタリマエな教訓ですが。
と、言うコトで完璧に満足なコーヒーとタバコってワケにはいきませんでしたが、これでステアリング周りの変更にともなうアルミ製作パーツはとりあえずできました。艶消しの黒に仕上げたいのでサンドブラストをかけてアルマイトに出します。色が付くと一気にパーツらしくなるんですよね〜♪楽しみです。
でも、まだ作らなくちゃいけないモノが多数。それも未知の領域なのが…。ムフフ…。
乞うご期待!
アルマイトに出す前にサンドブラストを当てました。まるで石造りのステムのようです。フォークのトップキャップは切削肌のままでいきます。アルマイトは肌がそのまま色の表情になるので、ツヤありにしたい時はバフをかけます。中古パーツなど、細かな腐食もアルマイトムラとなって表れることがあるので早めに出しちゃいます。ウチではアルマイト加工は主に横浜のコーケンさんにお願いしています。かさねがさね、仕上がりが楽しみです。
上がってきましたよ〜、コレ(嬉)!
つや消し黒をアルマイトで表現するのにサンドブラストを当てて出したのですが、どんな感じで上がってくるのか楽しみでした。結果、ほぼイメージどおりです!考えもしなかった「ブラストムラ(?)」が多少見えましたが、悔しかったザグリ面の仕上がりがイイ感じでごまかされ、ほぼ文句なしの仕上がりです。塗装のつや消しや、砂型鋳込みの肌とも異なり、丸いながらも硬い表情は独特で、ステンの削り面とのコントラストも手伝ってかなり上質な表情だと思います。いや〜ワンオフパーツを製作するときはいつも思うのですが、「部品になったなぁ」と感慨もひとしおです。あの、アルミの塊がねぇ…。
で、嬉しくなって首回りだけ組んでみます。
うん。イイです。不思議とこの段階でも「ドルフィンらしい」と思ってしまいます。…だけど…組み込んだらほとんど外からは見えないパーツなんですよね…(笑)。
この後は、ステムシャフトとアクスルシャフトも製作しますが、それはお客様の春の仕事が動き始めて、落ち着いてから、ね。ダラダラと雪が降っていますが、もうスグですね!オーダーお待ちしております!
暖かくなってくると同時に忙しくなってきました。
そんな中、これ入ってきましたよ〜!64チタン丸棒です。チタン=軽いというイメージですが、ムクだとヤッパリずっしりとキますね。チタンって強度もあるので製品の肉厚なんかを薄くできるからさらに軽いイメージがあるんですよね。実際の比重は4.5と、強度部品で使う7075アルミの2.8よりかなり重いんですよね。
でもそこはチタン、ダテにお高いわけではありません。比強度やら引張強度やらヤング率なんかはご自分で調べてもらうにして(汗)、とにかく強いのです。それをさらに加工して強度を上げて(さらに軽くして)モノを作ろうって訳ですが…
ウチの道具で加工できるのか?ってコトです。イソイソととりあえず刃を当ててみます…
硬い…けどコツをつかめば何とかなりそうなカンジです。先ずは自分のドルフィン用にパーツを作ってみますのでしばしお待ちを!アクスルシャフトなんかをコイツで作ったらフロントはサスがよく動くだろうし(特に荷重がかかっている時)、リアは剛性アップが期待できますね!ただし、レースでは使用禁止らしいですよ。それに価格も市販品に対してどの程度にできるのか?とにかくやってみます。乞う、ご期待!
でも、こんな時に限って、忙しいんですよね〜(良い事です!)
ステムシャフトを64チタン丸棒から削り出してみました。
ここしばらく、ようやく夏!って時期になってイキナリ仕事が忙しくなってきました。ピットの中はオートバイでいっぱいです。そんな中、首回りが無いまま宙に浮いている我がドルフィンジャンプ号がかなりジャマになってきました(汗)。そうこうしているうちにCode GP Projectも終了し(?)、イヨイヨ尻に火がついています。ですがこの時期の仕事は当然待ったなし、モチロンお客様の仕事が最優先です。自分のオートバイのパーツは隙間を狙って、チョコッとづつなんですが…コレ、隙間でヤル作業じゃなかったなぁ…です。
このステムシャフト、64チタンで丸棒から削り出しました。上下ブラケットがゴツくて多少重くなったのでステムシャフトを軽量なチタンで作って帳尻合わせ…なんて軽い気持ちが大変なコトに。モチロン、最近(?)旬なチタンアクスルシャフトのオーダーメイドの小手調べのつもりもあったのですが、ヤッパリ硬い!です。
外周切削やねじ切りは思いの他ちゃんと進んだのですが、肝心の中空穴掘りがまぁタイヘンなコト!安易にノーマルと同一構造で作ってしまったのもアタマ悪いのですが、18ミリ径で230ミリの深穴を掘るのにいったいどれだけ刃先を削った事か…。
チタンも切れるドリル刃はビックリするほど高価です。それでも回転数や送り量を的確にして初めて切れるのであって、無造作に刃物の性能に頼ると5秒で高価な刃物を台無しにします。…ハイ、しました…(泣)。
おまけにしょっぱなから太い穴を開けるワケではないので、何本か径違いの刃、それもロング刃(高い!)を用意しなければいけません。アクスルシャフトの場合は両端から掘ればいいのですが、今回は一方が内ネジなので一方から掘り進めるしかありません。自分のオートバイのパーツ、それもどうせ一本しか作らないのに(もし次回があっても次は外ネジにして両端から掘るね!)高価な刃物なんか買ってらんないしょ。せいぜいHSSの安物鉄鋼ドリルでチャレンジですわ(自分のだしね…)!
イヤ〜、今回は挫けそうになったね。本来はオイルホールドリルと言って刃先から切削油を供給しながら硬い刃で切り進んでいきます。こんなやり方しちゃいけないの。簡単に言えば究極のシロート作業ですわ。いろんな角度の刃先を削って、いろんな条件で旋盤回して、仕事の隙間でジミ〜に掘り進みました。その結果…
スゴイ勉強になりました!鉄鋼ドリルで64チタンを掘るコツが解りましたよ〜!
でもそれが解った時は、残りの深さはあと30ミリでした…スグ終わりました…。それまでの200ミリの穴は数々の失敗の傷跡が…(泣)。こうして、自分のオートバイのワンオフパーツは自分で作った最も出来の悪いモノになるのです。それだけお客様のオーダーの時は良い物が出来る!ってことですからね!そーですからね!
さて、ステムシャフトも出来たし、やっとブラケットと合体です。ここでも心配が…チタンとアルミの場合のアンダーブラケットの圧入はめあい寸法です。ベアリングは2〜3/100ミリでいくとして、ブラケット側のはめあいはベアリングよりかなりキツめなのです。う〜ん…、と考えて最終的に「どうせ自分のだし!」で決定しました。数値はナイショ(笑)。そしてイザ!圧入です。ハンドトーチ片手にプレスメーターを見ながら…カンペキでした(嬉)!
さーて、これで一気に進みますよ〜!
…とりあえず邪魔にならない位置に『移動』出来るようにするところまで…(泣)。
教訓
ステムシャフトは75アルミで充分かと思います。…これ、最初に材料屋さんに言われてましたね(笑)。ともあれ、これでよもやまステムも完成となりました。いや〜思えば長い道のりでしたねぇ…。最低限の予算とコケの一念、ビンボーバイク屋の憂鬱、一年がかりでしたわ。でも、まぁ、まともに頼んでたらン十万円は下らなかったろうし、なにより、カンペキに自分好みのワンオフパーツとなりました。「最期」まで付き合えるモノです。
組みましたよ〜『移動用ドルフィンジャンプ(笑)』。
久々のドルフィンの雄姿です(まだ走れないけど…)!
車体姿勢は今のところ、スタティックサグが予定より−10ミリで、前が10ミリ上がっています。ブレーキホースをつないで押してみると、いい感じ、以前とほぼ同じ動きです。バネレートは大丈夫でしょう。あとはアクスルシャフトとホイールベアリング回りなのですが…これまた怪しい企てがイロイロありまして(ニヤリ)、厄介なのです。さらに、仕事が相当に混んでいまして、またしてもしばらく休止ですね…。
秋風が吹く頃には!?
『秋風』なんて、スグ吹きましたね…
ステムは完成しましたが、アクスルシャフト回りにもいろんな企てが沸き起こってきて、このままじゃ今年は乗れない?と思い、とりあえず(この言葉、イヤなんですけどねぇ)アクスルシャフトカラーをパパッと製作して車検を取ってきました。一年とちょっとぶりのドルフィン再起動!です!
走ってしまえば、とりあえずでもナンでもいいわな。
オレのバイク、サイコー!です(笑)
今までデカイ車体に対して細くて目立っていたフォークが、太くなる事で車体とのバランスが取れ、かえって目立たなくなりました。たたずまいとしては大満足の出来です。そして、思ったとおり、ここ一年ダラダラと試行錯誤を繰り返してきた苦労の跡は、まったくと言っていいほどに…見えません。
で、走ってみてどうよ?
…フツーです。ドルフィンそのものですね。
もともとの細いフォークも別に悪かったわけじゃないですし、様子見程度の走り方じゃ分かんない(実はコレが凄い事なんですけどね)ですわ。これから走りながらツメていきますし、本来の目的は『オッサンだからラクしたい』であって、限界を高めるつもりではないので先ずは上出来です。
ただ、アクスルシャフトの剛性の重要性は『とりあえず』のおかげでかなり考えを改めています。ステム、フォークをコレだけ強化してこの程度かぁ…と。アクスルシャフト(回り)の強化プロジェクト、楽しみです。
とりあえず走り出したドルフィン号、先ずはアタリ取りと様子見で走ってみると、10ミリのフロントアップが意外と影響が出ていました。全体のストローク量が減った事もあり(145ミリ→125ミリ)10ミリはデカかったですね。
加速時にフロントタイヤが地を離れやすくなりました。以前は結構な加速をしても接地感が無くなる事は無かったのですが、さすがにリバウンドストロークが少なすぎですね。以前のフォークでは全ストロークの差分をほとんど伸び側に使ってましたしね(エアは乗車状態で大気圧にしていましたが)。ドカンとウイリーするのなら良いのですが(?)加速時に再接地したときのことを考えるとステダンも外しちゃったしチョット不安。それに急な切り返し時にフロントタイヤが浮きやすいのもよろしくないです。
あと、靴先をずいぶん接地させちゃうんですよね。まあ、だらしない乗り方してたのはありますが、以前はそこら走っている程度で靴を擦るなんてこと無かったんですがねえ。フロントが上がって車高は上がっていても、そのせいで寝かさなきゃ曲がらなくなっているのだと思います。個人的にオートバイを寝かせて曲がるのが好きじゃないのでやはり早めに変更しちゃいます。
おっ!いい感じ!(分かります?)今回はイロイロ考えた結果プリロードカラーを5ミリ短くしました。プリロードアジャスターを最弱にして伸びきった時にバネを遊ばせないギリギリの数値です。後はアジャスター調整で先ずは以前と同じ車体姿勢になりました。空気はフリーの時に大気圧なので(伸び側の事も考えて今回はエア抜きを作りませんでした)伸び側で負圧はかかりません。フルストロークの残ストロークは8ミリぐらいと今のところイイ線いってます。予想どおり奥でちょっと立ち上がりが早くなったかな?でも乗り心地は良いです。
次はちゃんとした(?)ワインディングを走ってみてオイル粘度と油面の判断をしたいと思います。まだまだ動きが新しい(雑?)みたいだし走り込みたいですねぇ。ついでにステアリングヘッドベアリングの締め付けを確認しました。組んだばかりだし結構緩くなっていましたね。これは走っていても分かりました。ここの締め付け具合はハンドリングにかなり影響します。個人的にキモチ抵抗感(めっちゃ微妙なんです)があるのが好きなので何度も締めなおします。
これで先ずはOK、ワインディングが待ち遠しいです。どこ行こうかなあ…
部品待ち時間の間をぬって、自分のヤツ、コソコソやってますよ(笑)。
18インチホイール用スピードメーターギア。
ゼファー1100用のメーターギアの構成はこんな感じなんだけど、シャフト径は17ミリ(20ミリだと思ってた!)、これを内径20ミリに掘ったらちょっと弱そうだったので加工しました。メインシャフトの外側に64チタンから削り出したスリーブをちょっと強めに圧入し、その後、旋盤で面を出します。太くなった分、ウオームギアの内径を広げ、グリス溝も掘ってみました。芯とギアのクリアランスも無事、とれました。
…でも実は見つけちゃったんですよね…もともと20ミリシャフトの18インチメーターギア(泣)。せっかく新品買ったし、悔しいからナイショにするけど、次は(あれば)ソレを使うね、ゼッタイ。しかし…電気式にすればそれで済むワケだし、わざわざフリクションの多い機械式にこだわるのもどーなのよ?とにかく、これでコンパクトで強いメーターギアになりました。
難題ひとつ解決。あといくつあるんだ?
「ワンオフ」カテゴリーにするか迷ったけど、やっぱ四方山ってコトで。
64チタン丸棒から削り出したワンオフフロントホイールアクスルシャフトです。
もちろん中空、ナットも64チタン製を用意してみました。
頭側は商品化を視野に 、製作が簡単でありつつソレっぽくってコトでこんな感じで。シャフト径は20ミリなんだけど、クランプ部は25ミリシャフトに一般的な32ミリ。だから、かなりの部分、高価なチタンをキリコとして廃棄します。中空な事もあって、モトの材料からすると廃棄分の方が多いんですよね。市販モノがナゼにあんなにお高いのか、作るヒトにはよく解ります。相変らず硬い!し、商品にするにはウチの年老いた旋盤には辛そうです(泣)。刃物があまり良い物じゃない上に、長モノは旋盤自体の微調整が(ウチのは)いちいち必要です。
でもこれで終わりじゃないんですよねぇ…。ナゼにそれでもわざわざ細い20ミリ径なのか?
良い結果が出れば、公開します。
と、いうコトは来春、雪解け後ですね。来シーズンも楽しみがイッパイです!
今回使用したフロントフォークはスズキのGSF(バンディット)1250用43Фなのですが、コレがちゃんとした理由がありまして…。
先ずは車重が近く、カテゴリー(ツアラーバイク)も近いのでバネレートを変えなくてイイ可能性が高いこと。
次にアウターチューブのキャリパーマウント部がゴツクなっているので、ブレーキング時でのシリンダー(アウターチューブ内壁)の歪みが少なくて良く動くだろう、ってコト。
他にも、フォークピッチが今回目指したステム寸法と同じだった、見た目が好みだった、悩みのタネになるアジャスターが少なく、でもカートリッジタイプだった、安かった(大事ね)コトなどが上げられますが、その中でも大きなポイントが、「キャリパーサポートを付けなくて済みそう」ってコト!
後にコレがスッタモンダの元になりまして…(泣)。
GSF1250に使用しているキャリパーは取り付けピッチ62ミリのTOKICO製4ポット。比較的新しいタイプで、取り付けボルトが8ミリのヤツ。で、ディスクローター径が310Ф。一方、ドルフィンに今まで使用していたキャリパーがNSRなんかに良くあるNISSINの4Pで、これも取り付けピッチ62ミリ、ボルト径8ミリ、と同じ。ローター径も310Ф…と、言うコトはオフセットをあわせればボルトオン?!
だって、NISSIN、ブレンボ、ロッキードなんかの40ミリピッチなんて(実は多少は違ったりするけど)だいたいサポートも共通でしょ…
ところが…実際取り付けてみると、対ローター角がビミョ〜に違うんですね〜(泣)
さ〜どうする?…ここからはまさしくシロート的スッタモンダ、恥ずかしくてHPにも載せなかったんですけど白状します。
先ずはGSFのTOKICOの値段調べたら、まぁそんなに高くはありませんでしたが、個人的にどーもTOKICOは…ってのがありまして。
次にたまたま近くにCB1300SFがありまして、そのキャリパーがGSFのTOKICOとソックリな62ミリピッチのNISSIN、イロイロ調べると、色も黒、金、銀とあったり、ピストン径も数種類の組み合わせがある上にジュラルミンピストンもあるみたい。ここで冷静になれず(笑)に淡い期待と共にブラックボディーの34/32Фのキャリパーを試しにオクで落札しました。もしかしたらNSRとはまた違った寸法になっているのでは…
ある意味アタリ!ですがやはりTOKICOとも違いました(泣)。
ですがNSRキャリパーよりは多少マシな感じ。ここでお客さんには絶対オススメしないキャリパーボディーの削り込みという暴挙に出ました。削る位置的には力のかかる方向的に剛性にあまり影響しない部分だし、連結ボルトを64チタンにするつもりだったし、自分のだし!ってコトで。慎重にコトを進め、ローターとの干渉をクリア、パッドのアタリ位置も大きくは(?)変わらない感じ…です(汗)。
せっかく多少のムリを通したので、キャリパー本体をバージョンアップすることで自分の気持ちにイイワケを付けます(笑)。先ずはキャリパーの連結ボルトのチタン化と、ピストンのジュラルミン化、そしてオーバーホールです。
このタイプのNISSINキャリパー、ピストンが径が30Ф、32Ф、34Фの3種類あるようで、それぞれにジュラルミンピストンの設定もありました。自分のは一番デカイ組み合わせの32Фと34Ф異径スチール4Pでした。キャリパーボディー内径のクリアランスがスチールピストンとジュラルミンピストンで同一なのを確認したうえで、それぞれのジュラルミンピストン及びそれに対応するシール類を購入しました。
で、組み換えですが、やっぱりNISSINは良いですね。一番大事なボディーのピストン側の仕上げにぬかりがないのです。ここの仕上げが良いと、各シール溝のハナクソ(腐食)が付きづらく、動きも良いし掃除もラクなんです。さらにジュラルミンピストンは自己潤滑効果のあるカシマコートが施されており、形状も強度や熱伝導を考慮しつつの軽量仕上げ(他メーカーもジュラルミンはありますがここまではやっていません)、文句なしです。
鋳造2ピース4Pキャリパーとしては最強仕様でしょう。ちなみにもともとのこのキャリパーのジュラルミンピストン仕様の値段を調べてみると…鋳造ブレンボ4Pよりはちょっとお高いのね…(納得)。
ヨシヨシと思ったら、今度はローターのブレで取り回しの時や荒れた路面でローターとキャリパーの接触音が気になります。自分のローターはブレンボレーシングの鋳鉄ローターで、かなり走っていることもあり横方向のクリアランス(ガタ)が結構あるのです。進行方向のガタはないので走行に直接影響は無いのですが、やっぱり気になるので、ZRX1200後期のカッコイイローターを中古で入手(新品は1枚3万円以上します!)、コレでカンペキと思ったら、超高速域からのブレーキングで振動を感じます(涙)。やっぱ消耗品の中古はNGですね…見た目の状態はとても良かったし、旋盤にくわえて回しても振れは無かったんですけどねぇ…。部分的な厚みの偏磨耗か、摩擦抵抗の質的ムラがあるのでしょう。通常の走行では気にならなかったのですがカンジンの高速域で出るのは一番避けるべき危険でしょう。
結局、ローター交換も決意しました。でもタダでは交換しないぞ〜!いちよーバイク屋だし!
以下次号!
オークションとはいえ、せっかく気に入ったカタチと色のZRX1200後期型用ディスクローターを入手したんだけど、ハードブレーキング時に効きムラの振動が出ます。安物買いの銭失いとはこのコトですわ(泣)。もちろん『歪みありません』なんて文言ははなから信用していませんし、ダメモトで落札したのですが、脱脂したり振れを見たりしてもその原因が特定できないんですよね。これは今までにも経験があって、最終的に新品にするとやはり振動は消えるんです。もちろん歪んでたり、減ったりした(周方向の厚みムラ)ヤツもありますが、そんなに走っていなくて、『歪んでいない』ローターでもあり得るのですよ…(謎)。
ま、やはり重要保安部品の消耗品は新品ってコトで…。
しかし、その『重要保安部品の消耗品』のワリには、オートバイのディスクローターは高すぎる!とは思います。
…とか書いておきつつ…
ドルフィンのローター、インナーは再使用します(笑)。と、言うのも、元々ドルフィンに使用していたのはブレンボのレース用鋳鉄ローターで、このローター、サフェースキットと言ってフローティングピンとアウターローターのセットが別売りしていたのです。フローティングピンが片側12本と多いのでインナローター側のダメージが少ないだろうからでしょうが、確かもう廃番のハズ。ニューモデルのローターは価格も安く、メリットもほとんどありませんしね。
でも廃番のウワサを聞いた時点で密かに入手していたんですよね。元々がサフェースキットをアテにして当時高かったブレンボを買ったワケだし、望んでいた通り鋳鉄からステンになり(なぜか310Фだけステン化が遅れた)、さらに円高のおかげか1万円近く安くなった(それでもニューモデルのアッシーとほとんど変わらないのは後で知ったんだけど)のを聞いて発注してました。
で、バラしてみるとやはりフローティングピンの受け側は磨耗が見られるんですよね。以前はゴールドアルマイトの新品時にバラしてブラストあてて黒く塗ってあったんですが、塗装は意外に長持ちしていてずっとそのままでしたが、ピン部分はさすがにね…。
で、ちょっと迷ったんですが、ZRXローターの失敗もあり、投入を決意、もともと今度はブラックアルマイトをかけるつもりだったのですが、ここで一考。せっかくならハードアルマイト(硬質アルマイト)がイイよなぁ…。ジュラルミンスプロケットなんかに使われる、表面硬度がかなり向上するアルマイト処理です。
で、アルマイトでいつもお世話になっているコーケンさんに相談。ハードアルマイトは基本的にカラーアルマイトは不可で費用もカラーアルマイトの倍ぐらいとのコトでしたが、色目を気にしないなら黒なら乗るとのコト。どのみち黒以外考えていなかったし、どんな表情になるのかも興味深々だったし、自分のだしってコトでお願いしました。ちなみにハードアルマイトはアルミの材質によって表情が異なるのだそうです。7075なんかは比較的黒も乗りやすいとか。ブレンボのインナーなら7075使ってそうだけどな〜、でも17かもな〜…と楽しみに待っていたら…
どーよ、コレ!
もともとブラスト当ててあったせいもあるのか、ほど良い艶消しでギリギリ黒と言えるグレー。もちろん大満足の仕上がりでした。おそらくコレでもう再使用は無いでしょうが、ハードアルマイトの表面硬化でもともとのゴールドアルマイトよりは耐久性は多少上がったでしょう。…とは言っても再使用、その言い訳みたいなものですがね。
とにかく、コレで予定外だったブレーキ回りの変更準備は全て完了!さー組むぞ〜!
…て、ローター新品なら当然ブレーキパッドも新品だよな〜…
高かったんだよな〜あのパッド…(泣)
ちょっと長くなりますが…
今回製作したチタンアクスル、フォークにかましてみたらあまりカッコ良くなかったので、頭の部分をやっぱりスパナがかかるように削り直し、組んだ時の出っ張りを極力押さえるようにしました。
ホイールのベアリング穴は径を拡大し、内径25ミリのベアリングが入るようにしました。
ここでまた一考。ホイールベアリングは一般的にはアクスルシャフトで直接支持されており、左右のカラー及びディスタンスカラー(ホイールの内側で左右のベアリングの内輪に挟まれているカラー)が、ベアリングの内輪をアクスルシャフトの締め付けで、「挟みつけて」いるのです。当然、アクスルシャフトはボルトを緩めればスポッと抜けるワケで、クリアランスがあります。と、言うコトはアクスルを締め付けていても左右の内輪はずれる余地があるってコトです。もちろんその余地は無視していい値だから現在でもその構造は変わらないのですが、ホイールセンターでの0.01ミリのズレは外周でどれだけになるのか、ホイールの外側のさらに端にあるタイヤからの入力はホイールセンターではどれほどの力になるのか、ってイメージすると、内径25ミリのベアリングでも『大変だなぁ…』と思います。
そこで思い出すのがレーサーのホイールなんかにある圧入カラー。シャフト径に対してオーバーサイズのホイールベアリングを使用し、その差分の径の出っ張りをカラーに設け、それをベアリング内輪に圧入します。交換やメンテナンスは非常にシビアになりますが(ベアリングの圧入具合が凄く分かりづらい)、簡単に言えば左右のベアリングの内輪が一体化し、カラーも含めた『長い内輪』になるのです。もちろんフォークとの接点の片側はどうしても前述のおっつけ部は残りますが(ホイール脱着時にいつも圧入作業するならそれもなくせますが)、アクスルに対するホイールの支持力は相当強くなるハズです。さらに今回は、通常いいとこ75アルミのそのカラー類を、64チタンで作ってみます。
首回りの強化の考え方としては、フレームやステムなどの実質的強度アップ以外に、左右のフォークの水平をより強く維持させるコト(アクスルシャフトを強化したり、スタビライザーを入れる等)と、アクスルシャフトに対するホイールの直角をより強く維持させるコト(アクスルシャフトの強化とホイールカラー、ベアリングの強化等)が大事かと思います。そうする事で負荷がかかった時でもサスがよく動き、結果フレームに対する入力も優しくなるのではないかと考えています。ドルフィンのフレームにはこの考えのモトで補強は一切しておらず、バネ下のメンテナンスや軽量化も含め、とにかく「よく動く足」にすることでスタビリティーを向上させようとしています。
…なんて書いてるけど、チタンアクスル径が20ミリなのは25ミリ径の18インチスピードメーターギアを見つけられなかったのがそもそもの理由で、直接アクスルをクランプするタイプなら太いにこしたことないワケだし、フレームに手を入れないのは「メンドクサイから」、だったりします(笑)。ディスタンスカラー等の加工や作りに考えが及んだのは「仕方なく」っちゃー、そーなんすよ(汗)。
ま、その「もともと」はともかく(?)、考え方はごくマジメです。とにかくノーマル15ミリ径(細!)のスチールシャフトは20ミリ径の64チタン中空に、ディスタンスカラーも64チタンはめ合いタイプで作り、スピードメーターギア側もチタンカラーを入れました。さらに反対側のカラーはフォークとの接触面を出来るだけ大きく取るために、チタンより軽い7075アルミの太い丸棒から削り出し、接触面が小さいベアリング側には64チタンを圧入した上で内輪にはめあうよう削り出しました。
コレで内輪の支持力は相当アップした…と、思います…けど、どうかな?
とりあえず組んでみます。
モノノミゴトに何も変わりません(そりゃそうだ)。
右写真奥に見える、お客さんのバイクの「高級パーツ」の足回りがカッコイイだけです?(笑)。
で、そのスッタモンダの効果の程はどーなのよ?
スゴく良ければ「流用・加工」か「ワンオフ」カテゴリーにアップして仕事として請けてみようかな?、と思っています。オーバーサイズベアリングとチタンカラーならば、お高いチタンアクスルよりはリーズナブルに、かつそれに近い効果が得られるかと思います。
もし、春になってもアップされてなかったら…そっとしておいて下さい(?)。
とにかく、ドルフィンジャンプ2012出撃準備OK!(喜!)です!
間に合った!
まだまだそんなに走り込んではいないのですが…
結果から言って、進歩しています!
アクスルシャフトをヤル事で、ステムやフォークの効果もここにきて本領を発揮したようです。
取り回し(押し引き)しただけでもしっかり、というか正確にオートバイを動かせます。
もちろん今まで気にしてもいなかったのですが、こうなると解りますね。
『あれ?そういえば楽だな…』ってレベルですが、
エンジンかけずに解るのは凄い事です。
ジオメトリー関係は触っていないのでさらに感動モノです。
Uターンなんてさらに顕著です。
まるで軽量級のオートバイのようにクルリと回頭出来ます。
そのまま段差をまたいでもサスがキレイに動いているのも感じます。
ヤッタ!
春まだ浅い、いつもの道でちょっとアクセルを開けてみます。
遅い…
ペースアップ!
遅い…
まぁ、ドルフィンもエンジンに手を掛けてからゆうに4万キロは走ってるし、お疲れだろうけど、
乗り手も50歳を目前に、お疲れだろうけど、
遅い…?
…イヤ、「恐くない」んだ!?
オートバイの中心で愛を叫んだね(?)。
もともと荒れた路面には強かったけど、
ギャップで横っ飛びしようが、リアをホッピングさせようが(ヘタクソ)
ドーンと安定しています。
タイヤがあまり安心できないヤツ履いているのでエッジに乗せるとこまではイッてないけど、
「OK、ドル、このまま行こう!」
でした(喜)。
サスセッティングはマダマダだし、実は走る前にフロント5ミリ上げてて(安全対策)、
ペースアップするとチョット動きが重かったけど、
車体の剛性バランスが取れた感じで余裕を感じます。
トップエンドが上がったのではなく、桶の壁板の高さが揃ったってヤツ。
気持ちイイです。
次は久々のハイグリップタイヤ、履いちゃいますか!
でも、おっさんだから「恐くない」は「危ない」のも充分解ってるし、
ブレーキもアホみたいに効くようになったし、まだまだ慣れなきゃね。
とりあえず、おっさんのオートバイとしてはかなりいいバランスになったと思います。
もちろん80年代の空冷バイクレベルのままですが、
乗り手の老朽化を補うだけの進歩はあったと思います。
ドコのどのパーツがどこまで効いた、とは言えませんが
ホントこまごまとした地道な努力は、後で必ず報われますね。
ドルフィンが放つオーラがまた一段と自分をニヤつかせます(ヘンタイ)。
…自慢話になっちゃいましたかね?(照)。
でも仕事の上でもソートー勉強になりました。
生かしていきますよ〜!
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…てなカンジでプロではなく、ただの一バイク好きのオッサンとしては、かなり怪しいコトもやっています。間違ってもただマネをして欲しくないので、今まで表に出さなかった事も多々ありますので、そのアタリの責任は持ちませんからね!。ただ、実際に何らかの問題が出れば、もちろんプロとしてのコヤシとしますし、「こーなるからやっちゃダメ!」と公開しますね。