Miss.Bunny
★ TAVAX KATANA GSX1135 ★
2015年春、1基の宝石のようなフレームがウチに持ち込まれました。
大阪のタバックスエンジニアリング、今は亡き田端さんの手によるワンオフアルミフレームでした。
あれから現時点で6年、いずれこのSpecialコンテンツで紹介しようと思ってはいましたが、
何処までいってもTAVAXの存在感に気圧され、ウチのHPで紹介するのもどうか、という想いもあり今となりました。
2021年、田端氏は他界されましたがこのカタナはオーナーと共に走り続けます。
そのオーナーの想いと共に、ウチでもここに残すのもいいのかなと。
とは言え、ウチに持ち込まれたのは当初これだけ、ホイールセンターもまだ出ていません。
オーナーは各種工作機械を所有し、プロ顔負けの作業をこなすいわゆるヘンタイ(笑)、ウチはその作業のお手伝いとは言え、
多岐にわたるワンオフ、加工、調整作業はいっぺんに書くといつまでかかるか分かんないので、
ここでは最初から少しづづ随時追記していきますので、興味のある方はたまに覗いてみて下さい。
ま、コイツも現在進行形で進歩してますので、追いつくこともないかも、ですが(笑)
Miss.Bunny - Index
Vol.1 TAVAXフレーム Vol.2 ホイールセンター等
Vol.3 ドライブシャフトベアリングサポート Vol.4 カウルマウントステー
先ずは、持ち込まれた当初から。
フロントフォークはオーナー自らXJRのフォークアウターを旋盤で切削し、ワークスパーツ風になっています。
アウターチューブなんて外は鋳物、これだけでもそうは簡単じゃないんすよね。やっぱヘンタ…すごい熱意です(笑)
世界に唯一無二のTAVAX製アルミ丸パイプカタナフレームを先ずはご覧あれ。
アッパーカウル及びメーターステーは、オーナーの元のカタナ用に製作したウチ製です。捨てられてなくてホッとしました(笑)
てなワケで今回は以上。次回からいよいよこの車体の基本骨格を組み上げていきます。
世界一のフレームを相手に緊張を伴いながらも楽しい作業でした。
フロントのセンター及びシャフト径合わせ。フロントは寸法から追えます。
シャフトに対してオーバーサイズのベアリングでディスタンスカラーとサイドカラーははめ込みで製作。
7075で座面はキッチリ取る寸法で。
続いてディスクローターのオフセットの設定。
キャリパーの位置を、製作するサポートの厚みから決めキャリパーセンターがキッチリ出るように。
ローターのセンターが出る段差を付けるにはギリギリでした。
うひゃ〜(笑)
スピードメーターギア側は特に(汗)
で、キャリパーサポートの製作。ただでは済ませませんよ!(笑)
サポートの剛性を意識しつつ、ブレーキダストを飛ばすカンジで、さらに軽く(のつもり)。
OK、ドンピシャ!
リアのホイールセンターは超アナログな水糸引いて(笑)
200サイズのタイヤがそのまま入るフレーム設計になっています。
スイングアームもキャッチタンクもTAVAX製のスキのない造りです。
カラーは圧入タイプで。ここの強度は公道車ではタイヘン重要です。
で、キャリパー側も。
こちらはフローティングマウント。極力フレームに直接火を入れない造りで。
これで押引きは出来ます。次の段階に移るための作業はオーナーが自分で進めるため、その都度ニッコニコしながら送り迎えしてくれます。
幸せそうな笑顔です(笑)
オーナーが仲間と共に組んだ1135エンジンが載せられて帰ってきました。
このフレームが元々200サイズのタイヤが履けるように作られており、当然チェーンラインが外に出ますので、
1135エンジンに200タイヤではドライブシャフトのベアリングの負荷が不安になります。
なのでドライブシャフトを延長して外側からもベアリングで支持するサポートを製作します。
ドライブシャフトベアリングサポートは以前GGSにも製作していましたので、手順は覚えています。
ドライブシャフトセンターもこの個体で出し、以前よりも強度を上げつつ、専用のデザインで製作します。
先ずは延長シャフト。かなりゴツイ材料から削り出します。
硬い材料の内ネジ切は頭の血管が切れそうな緊張を伴います。
スプロケットナットの緩み止めも兼ねる造りです。
ベアリングホルダーのとめ穴掘りも失神しそうな緊張感で掘ります。
二度とやりたくないです(笑)
曲線は当然手掘りです。シフトシャフトはピロで支持します。
6ミリネジの柱だけのコタツやぐらでは不安なので壁にしてボックス構造で。
さらにエンジンマウントでも支えます。ドライブスプロケット側の泥抜けも意識した造りです。
で、完成。
書くとなまら簡単です(笑)が製作中はフレームとのバランスと、自分の限界のせめぎ合いで寝るのも惜しいほど…
…楽しかったです(笑)
フロントスプロケットは一般に入手できる最大オフセットの市販品をスプラインを全て使える位置に取り付け。
フレーム側には余裕があるので、リアスプロケット位置をそれに合わせてオフセットします。
特殊なスタッドボルトなのでそのままオフセットカラーを製作して使用しますが、ボルトの突き出しがギリギリです。
ワイヤーロック穴付きのスペシャルナットを製作してワイヤリング。
これでチェーンラインは終了。ホイールセンター、フレーム、リアサス、タイヤ…チェーンラインがちゃんと出てる改造車って意外と少なく、
ちゃんとするにはけっこうイロイロやんなきゃいけないんすよね。
ノーマルのデーターが通用しないワンオフフレームでは改造と言うより、設計です(笑)
そりゃーこんなフレームにスチールのノーマルカウルステーはないよね。ステムのピッチも広くなってて干渉するし。
当然のようにアルミで製作します。
先ずはノーマルステーで治具の製作。で、ステムの軌道を確保するのに寸法取りと形状の検討。
イザ本番。7N01パイプで1本曲げ!しくったら2メートルのゴミです。
フレームとのマウントを治具上で溶接し、ステム回りとの軌道確認。
ヘッドライト回りとカウルマウントボルトのステー類を製作・溶接。そりゃー何回もツケタリハズシタリします。
ノーマルよりも整備性良く、質感高く、寸法が微妙に違うアルミタンクに合わせ…
はい、完成!書くとこんなに簡単(笑)
で、カウルが付いたら見えもしません(笑)メーターステーを兼ねたアッパー側のステーはこのフレームになる前に製作したものです。
でも、『脱いだら凄いんです』そもそもがそんなフレームですよね。
ウチの仕事が珠玉のフレームを台無しにしないよう必死です。